物理学とは何だろうか(上・下)

(著者)朝永 振一郎 ともなが しんいちろう
(出版社)岩波書店 岩波新書

日本で最初にノーベル賞を受賞したのは,湯川秀樹さんで,1949年のことでした。この湯川秀樹さんと研究を競い合っていたのが朝永振一郎さんでした。ともに,世界をリードする業績を上げ,朝永振一郎さんも,1965年に日本で2人目のノーベル賞受賞者となりました。

朝永振一郎さんは,専門書でも,一般向けの解説本でも大変評価の高い本をたくさん著しています。それらの多くは,今日でもよく読まれています。この本もそんな一冊です。物理を学ぶ人はぜひ読んでおきたい本だといえます。

近代科学は16世紀ぐらいに源流があります。歴史的な流れを追いながら,20世紀の手前まで(相対論・量子力学の前まで)をわかりやすくていねい に書かれているので,たいへん読みやすい本になっています。そうはいっても,高校生にとっては,学校で学んだだけでは基礎知識が足りていないので,全部は 理解できないかもしれません。それでもいいので,とにかく読んでみるのも勉強だと思います。というか,学校ですべて学べるわけがなく,学校での学びをきっ かけにして,自分で学びを広げていくのが勉強ですよね。

少しずつ背伸びをして読書をしていくというのは,読書の醍醐味でしょう。あるいは少しずつ守備範囲を広げて,読書をしていくというのも大切なこと です。