巨大科学

2015年8月に,信州は飛騨・高山のスーパーカミオカンデやカムランド・飛騨天文台を生徒と一緒に見てきました。スーパーカミオカンデとカムランド は地下1000mに建設された施設です。神岡鉱山の坑道を利用して建設したものです。今はさらに,暗黒物質を検出するXMASSや重力波を検出する KAGRAという装置を建設しています。

素粒子と加速器に夢を抱いて大学に進みましたが,とっても小さな素粒子を調べるのに超巨大な加速器が必要になるというのは大いなる逆説ですね。いまや,一国ではまかないきれず,いくつかの国が共同して加速器を建設する時代になっています。

こういった巨大な施設も第一線の研究者が,設計し,予算を獲得し,何千人にも及ぶ研究者や技術者などなどをまとめていかなければいけないんですね。 すごいことだなーとびっくりします。構想からデータがとれて論文になるまでに何年かかるのでしょうか。無事によい結果は出るのでしょうか。

日本の素粒子研究は世界の最先端を行っていますが,裏に回ると大変な世界だということを実感して帰ってきました。

もっといろいろなところにもいってみたいものです。JAXA,KEK,・・・,いっぱいありますね。

ニュートリノの夢

(著者)小柴 昌俊 こしば まさとし
(出版社)岩波書店 岩波ジュニア新書

2002年にノーベル物理学賞を受賞した著者の半生と研究生活,そして,ニュートリノの観測で名を馳せたカミオカンデの建設秘話が,わかりやすくて いねいに記されている本です。小柴さん(なんだか,親しいみたいですが,物理の世界では,教授相手でも,・・さんとよぶのが普通です)の名前は皆さんの記 憶にはないかもしれませんね。しかし,ニュートリノに関する実験はどんどん加速し,岐阜県飛騨市神岡町ではカミオカンデはカムランドに変身し,新たにスー パーカミオカンデが稼働し,ハイパーカミオカンデが計画されています。さらに,暗黒物質を観測するXMASS(エックスマス)や重力波を検出する KAGRA(カグラ)も出番を待ち構えています。すばらしい小柴効果ですね。

iketは小柴さんの話を間近でうかがったことがありますが,なかなか気さくで楽しく聞かせてもらいました。この本も,口述したとのことで,読みやすいこと間違いなし。是非手にとって読んでみてください。

物理達人への4STEP

前回はラーニングピラミッドを紹介して,思うことを書き連ねましたが,学びの意識化が大切だと思うのです。

自らがどのように学ぶのか,受け身でなく,いまの状況の中でどのようにできるのかを考えてほしいと思うのです。自ら変えるべきは変えるし,環境を変 える必要があれば変えるように努力するということです。もし,環境が変わらないのであれば,その中でどのようにするのがベストなのだろうか・・・。

今回紹介するのは,学びの4STEPです。名付けて物理達人への4STEP! 次の図のように学習の過程を見える化してみました。iketはこのように思っています。多少の意見の相違はあっても,皆さんにもなるほどと思ってもらえるんじゃないかな。

図2

自分はどの段階にいるのかな? 次にどうすればいいのかな?

大切なのは,自分のなかで意識化していることですね。また,友達も巻き込んで,この価値観を共有できるといいですね。一人でがんばるということはもちろん最重要ですが,それだけでは足りないと思います。
iket曰く「生きていくということは,常に他者との関わり合い」
自分一人が幸せなんてことはあり得ない。みんなで学び,みんなで幸せになるというのがとても大切なことだと思いませんか?

ラーニングピラミッド雑感

下の図は,近頃よく見るラーニングピラミッドと呼ばれる図です。皆さんよくご存じですね。

図1

%で書いてあるのが記憶の定着率です。実際にやってみる75%,教える90%となっています。受け身でなく,能動的な取り組みが大変効果的だというわけですね。ikeTも,その通りだと思います。

一方,講義5%,読む10%となっています。本当にそうでしょうか。ikeTは違っていると思います。何か抜けているように思います。論語に次の一節があります。

子曰く、学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)

孔子先生がおっしゃったことには,「学ぶばかりで、自分で考えなければ、本当の知識にはならず身につきません。また、自分で考えるばかりで,学ぼうとしなければ、独善的になり危険です」。

講義は,学習の一過程に過ぎないのです。物理の学習では,これまで,予習・授業・復習・演習がワンセットになって,インプットからアウトプットまで を行っていたのではないでしょうか。教科書や参考書などを調べてみても分からないところがあれば,友達と教え合い,解決できなければ,先生に質問に行くと いうこともやっていました。また,問題演習でも,筋道をしっかりとさせて解答を試みるということをやっていました。これは,授業自体は講義主体の一斉授業 であっても,学ぶ主体の生徒はラーニングピラミッドの全体を実は行っていたのですね。

逆に,いくらラーニングピラミッドにしたがって,学び合い,教えあう授業を受けても,自ら学ぼうとしない人はそこで止まってしまい,たいした効果は 上がらないのではないでしょうか。是非,学び合い,教え合いに積極的に関わって,その後の復習・演習もしっかりとやりましょう。自分で考え,取り組んだこ とが力になるという,あたりまえといえば,あまりにもあたりまえなikeTの結論です。

世の中はシンプルか?

iketは物理はシンプルなのでおもしろいと思いました。公式も覚えることはごくわずかで,式を立てて解けば答が出てくるので,問題練習はたく さんしましたが勉強は楽でした。大学では物理で使う数学が高校とは比べものにならないくらい大変になってきました。結構マジな体育会系だったので両立は大 変でした。物理は,アイデアはシンプルでもそれを表現する数学が複雑です。数学者にいわせると,大学でやるような数学はまだまだシンプルなのかもしれませ んが。

さて,この世の中は複雑極まりないように見えます。でも,きっと基本はシンプルに違いありません。難しくしているのは何なのでしょうか。皆さんは 「相田みつを」という人を知っていますか。書道家ですが,とってもシンプルに人生をとらえた書を多く残されました。iketは気に入っています。図書館か 本屋さんで見つけてみてください