ハッブル 宇宙を広げた男

(著者)家 正則 いえ まさのり
(出版社)岩波書店 岩波ジュニア新書

今年の夏は,西はりま天文台と花山天文台に行ってきました。
西はりま天文台では,口径2mの反射望遠鏡「なゆた」を実際にのぞいてきました。また,街中ではけっして見ることができないほどの夜空に広がる星々を見ることができました。まさに,夜空からこぼれ落ちそうなほどの星でした。

さて,ハッブルという天文学者の名前を皆さんはご存知ですか。20世紀前半に活躍した20世紀を代表する天文学者で,宇宙が膨張していることを発見し,アンドロメダ大星雲までの距離を測定し,銀河が無数にあることを示したスーパースターです。

この本は,著者みずからが資料に実際にあたり,関係者にインタビューしてまとめ上げたものです。著者自身が,ハワイにある「すばる」望遠鏡や,次世代の「30m望遠鏡TMT」の建設に重要な役割を果たした,世界的な天文学者なので,本のいたるところに専門家ならではの視点が見られます。

本書を読むと,ハッブルは,誰もが認める天才であるとともに,少々変わっていたようです。この本は,ハッブルを通して,天文学への興味をかき立ててくれるすばらしい本だと思います。宇宙はいつもロマンに満ちています。そんな宇宙に挑戦し続けた先人達。そのようすが生き生きと描かれています。

宇宙の歴史の長さと競うかのように,本書は出版までに20年もかかったそうです。ぜひ手に取ってみてください。