青い光に魅せられて

(著者)赤﨑 勇 あかさき いさむ
(出版社)日本経済新聞出版社

2014年,「高輝度青色発光ダイオードの発明」の功績によりノーベル物理学賞を受賞(共同受賞)した著者が,長い研究人生を振り返りつつ,若い世代に伝えようと語り下ろした本です。

その結果,まさに語り口調で読みやすい本になっています。最も,本書はノーベル賞受賞以前の2013年に発行されています。この本で著者が伝えたかったことは,序章にありますが,「あきらめなければ道は開ける」ということです。

さっそく読み始めてみると,小さい子供時代から,何事にも興味を持って接していたようで,それは人との関係でも同じようで,多くの人との出会いが著者人生を支えているといっても過言でないようです。そして出会った人との関係を,ずっと大切にしてきたことが分かります。物との出会いも同じで,それは,研究のテーマということですが,うまくいくときも,いかないときも,あきらめずに,工夫を重ね,追い続けたということです。終章には,それまで賞とは無縁だったのが,還暦を過ぎてから賞をいただくようになったと書いてあります。

物理学の場合,非常に若くして,20代で世界的な研究成果をあげる人もいます。その一方で,地道に一生かけてコツコツと研究に励む人たちもいるのだということを,あらためて気づかせてくれる一冊です。