村山さん,宇宙はどこまでわかったんですか? ビッグバンからヒッグス粒子へ

(著者)村山 斉 むらやま ひとし
(出版社)朝日新聞出版 朝日新書

ニュートリノが話題に上る時代になってきました。素粒子のことがわかると,宇宙のことがわかるというか,宇宙のことを知るためには,素粒子のこと をわからなければならないのです。これまでにも,素粒子のこと,宇宙のことを正面からわかりやすく解説したいくつもの本を紹介してきましたが,この本は少 し異なったアプローチを行っています。

この本は対談本なのです。科学に造詣の深い聞き手が,読者の代わりとなって,著者とのやり取りの中で,本当にいろいろなことに話題を広げていきま す。普通の本なら書かないだろうなと思う,苦労話や舞台裏などもいっぱい出てきます。説明も,目の前の聞き手にわかってもらおうと,より具体的にわかりや すいたとえが使われているように思います。

しかし,読み終えてみると,今まで読んできた本と合わせて知識が広がり豊かになったような気がします。立体的になったというか,3Dのような感じ といえばどうでしょうか。一冊の本から得られる知識は,その本の範囲で首尾一貫していてまとまっていますが,その外のことについては,知らないままになり ますね。ですから,一つのテーマについて,何冊かの本を読んで知識の多角化を図らないといけないのです。これは,文理関係なくいえることですね。

とてもわかりやすい本です。ぜひ読んでみてください。