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ikeTブツリブツリ・・・・・・・・・・物理や科学・教育に関して思うことを書き残しています。

ikeT本のコンシェルジュ・・・・物理や科学・教育に関する本の紹介です。ikeTのお勧めばかりです。

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14歳からの 宇宙論

(著者)佐藤 勝彦 さとう かつひこ
(出版社)河出書房新社

おもしろい本を図書館で見つけました。

著者の佐藤勝彦さんは,知る人ぞ知る世界的な宇宙物理学者です。宇宙のことや相対論のことなど,一般向けに多くの本を著しています。この本は14歳からと書いてあるので,中学生はもちろん読めると思いますが,入門として,高校生にちょうどよいのではないでしょうか。

「宇宙の膨張」・「ビッグバン」・「インフレーション理論」・「量子重力理論」・「ブレーン宇宙論」・「暗黒エネルギー」・「超弦理論」と並ぶ目次を見ると,興味がそそられます。でも,こんなに大風呂敷を広げて大丈夫ですか?心配になりますが,大丈夫なんですね。

数式は基本的に使っていません。初めて聞く言葉も多いと思いますが,ていねいに説明をしてありますので,しっかり読んでいけば読み通せると思いま す。多少わからなくてもどんどん読み進んでいきましょう。この本をきっかけに,宇宙に関するいろいろな本を手にとって読んでいけば,皆さんは宇宙のエキス パートになれます。

暗黒物質とは何か 宇宙創成の謎に挑む

(著者)鈴木 洋一郎 すずき よういちろう
(出版社)幻冬舎 幻冬舎新書

ノーベル物理学賞でニュートリノ振動が一躍脚光を浴びています。著者はスーパーカミオカンデの立ち上げとその後の実験に中心的に関わってこられた方です。

本書には,実験屋として活躍してきた経験から,暗黒物質の探索について興味深い話がいっぱい詰まっています。実験をするとはどういうことなのか,少しは分かったような気がします。

さて,暗黒物質とはなんでしょうか。実は宇宙の質量の7,8割を占めている(物理学者はあるという証拠をつかんでいるようです),未だ観測にかかっ てこない,正体不明の物質なのです。この暗黒物質を検出するために,スーパーカミオカンデと同じく神岡鉱山の地下に作られた巨大な実験装置が 「XMASS(エックスマス)」なのです。著者はその実験の代表者です。巨額の予算を使っての建設ですが,その苦労もさりげなく書かれています。

また,神岡はいまや素粒子物理学実験の世界の中心地と言っても過言ではないと思います。そこでは,重力波検出を目指すKAGRA(カグラ)も建設中 です。東北大学のカムランドも成果を上げています。今現在のようすが伝わってくるこの本を,是非手にとって読んでみてください。

ゾウの時間ネズミの時間

(著者)本川 達雄 もとかわ たつお
(出版社)中央公論新社 中公新書

動物の体のサイズには違いがあります。大きな動物,小さな動物,寿命もいろいろ,動きもいろいろです。一見,ばらばらなようですが,そこに物理学の目が入ると景色が全く違って見えてきます。

著者は生物学者ですが,発想が尋常ではないように思います。この本で使われている物理学の内容は高校で習うことではないものが多いのですが,難しく はありません。よく読めば理解が可能でしょう。このようなところで物理学的な考え方が応用できるのか,と思わずうなってしまいます。

このような本に出会えるのは,図書館の威力ですね。インターネットなどでは,ある程度目的がはっきりしているものは調べられますが,思いがけない出 会いは少ないように思います。図書館や本屋さんで時間を気にせずにあちこちの本棚の本を手に取ってみるのはとても大切なことだと思います。

皆さんもまずはこの本を手に取ってみませんか。

科学者はなぜウソをつくのか 捏造と撤回の科学史

(著者)小谷 太郎 こたに たろう
(出版社)dZERO

近年STAP細胞で日本の科学界が揺れに揺れたことは記憶に新しいことです。多くの優秀な科学者がそろっていながらなぜこんなことが起こるのでしょうか。

実は,こういったことはこれまでにも何回となく繰り返されてきたのです。かなりの長期間にわたって発覚しなかった例もあります。日本の考古学界で も,神の手とよばれた発掘の名人がいかさまを行っていたことが2000年に明らかになりました。ほぼ4半世紀にわたって,不正を行っていたようです。 世界でも,同じような例が数多く見られます。

この本では,8つの事例を取り上げて,その経過をわかりやすく記述しています。その結果,共通点が見られます。本人以外再現できないこと,周囲の人 が確認を怠っていることなどです。怪しいと思いながらも,盛り上がってしまって言い出せないのですね。 決して人ごとではありません。実験のデータをいい加減に扱ったり,友達のレポートを適当に書き写したりしている人は,立派な予備軍かもしれません。いずれ ばれるのがわかっているのになぜ?きっと,始まりは些細なことだったのだろうとiketは思います。引き返せなくなってしまうほど大きな反響を呼んでし まったのでしょうね。

皆さんも是非考えてみて欲しいなと思います。

巨大科学

2015年8月に,信州は飛騨・高山のスーパーカミオカンデやカムランド・飛騨天文台を生徒と一緒に見てきました。スーパーカミオカンデとカムランド は地下1000mに建設された施設です。神岡鉱山の坑道を利用して建設したものです。今はさらに,暗黒物質を検出するXMASSや重力波を検出する KAGRAという装置を建設しています。

素粒子と加速器に夢を抱いて大学に進みましたが,とっても小さな素粒子を調べるのに超巨大な加速器が必要になるというのは大いなる逆説ですね。いまや,一国ではまかないきれず,いくつかの国が共同して加速器を建設する時代になっています。

こういった巨大な施設も第一線の研究者が,設計し,予算を獲得し,何千人にも及ぶ研究者や技術者などなどをまとめていかなければいけないんですね。 すごいことだなーとびっくりします。構想からデータがとれて論文になるまでに何年かかるのでしょうか。無事によい結果は出るのでしょうか。

日本の素粒子研究は世界の最先端を行っていますが,裏に回ると大変な世界だということを実感して帰ってきました。

もっといろいろなところにもいってみたいものです。JAXA,KEK,・・・,いっぱいありますね。